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059.出会いは逆毛と共に ♂アコライトです。 青箱開けたら逆毛でした。 ♂アコライトです。 ♂アコライトです。 いくら引っ張っても逆毛が取れません。 ♂アコライトです。 ♂アコライトです。 隣で、♂アルケミが同じ様に膝抱えてます。 僕にも仲間が出来ました。 ♂アコライトです。 ♂アコライトです。♂アコライトです。♂アコライトです… 「wwwwwwww」 「…なぁ、俺達、いつまでこうしてるんだろうな」 哀愁すら背中に漂わせながら、大量の葉っぱを詰めた鞄を脇に置いているアルケミが言います。 そんな事言われても、僕がそんなこと知るわけありません。 「うはwwwwシラネwwwwっぅぇ」 「…そうか」 僕達は、出会いました。そう、それはたった数刻前の事。 十字架を背負った聖者の様な足取りで、この男はやってきたのです。 …まぁ、鞄の中に大量のハーブを詰め込んで、重い足取りで歩く彼の姿は、 聖者、というよりも、鬱病を患ったモロクの路地裏の大麻売りに見えたのですが。 そして、僕はというと相変わらずの逆毛。 やる事も特になく、二人して膝を抱えて遠くを見つめる事と相成っていたのでありました。 と、その時でした。がさり。目の前の茂みがざわつきます。 「…不覚を…とったか…っ。GMめ…っ」 そんな事を呟きつつ、一人の女性がそこからよろめき出たのでした。 美しい女性でした。意思の強そうな目をした、女性でした。 しかし、ひび割れボロボロになった、戦装束を纏っていました。折れた剣を杖に、何とか歩いているという有様でした。 僕と、膝を抱えているもう一人は呆然とその麗人を見ています。 敵か、味方か。いったい何者か。首元にある、僕たちと同じ首輪以外からは、何も読み取ることができません。 けれども、僕達に一言も言葉を投げないまま、その女性は地に膝を着き、そのままくず折れたのでした。 深淵の騎士子 GM秋名と交戦? 首輪付き 戻る 目次 進む 058 目次 060
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100 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 19 47 25 0 98 少し前ね。 リーマンの爪きりや漫画家のはさみでも逮捕されるっていう。 今でもそうなのかは分からない。かなり不満が広がったからね。 102 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 20 25 50 0 100 すぐに取りだせなければいいらしい。 ケースとか袋に入れておけばとりあえずだけどセーフ。 ご近所でちょっと事件があって、警察が職質してるの知ってて、コウトにその道とおらせました。 鞄にはナイフと女性下着が数点。事情聞かれまくってたようです。 結果、うちに勝手にあがりこんで盗んでたのが発覚。 私はトメかと思ってトラップしかけてたのに、コウトか、と地味にダメージでかかった……。 103 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 20 42 02 0 日本語おかしかった。 アポなしで押し掛けてきてメシ喰ってったコウトの鞄に、 ヤツの部屋掃除させられたときに見つけたナイフをちょろっと入れて、 職質してる道を通らせた。 あわてて入れたので、封のしてある紙袋に私の下着がはいってるのには気付かなかった。 でも結局ダブルパンチでコウトはお縄。息子ラブのトメは泣き暮らしてます。 106 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 20 56 13 0 102 うへあ・・・コウトきもすぎ! 兄嫁の下着ドロとは・・・・吐き気がする。 107 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 20 58 15 0 102 >警察が職質してるの知ってて、コウトにその道とおらせました。 トメを疑っていたのにコウトをハメるとは 何か予感めいたものでもあったんですか? 108 :名無しさん@HOME:2008/04/18(金) 21 06 16 O 107 旦那の兄弟が飯食いにくるのは異常だし、まかり通ってるのはトメ公認でそ。 どっちも撃退したいよそんなんw 次のお話→118
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マジック・ユア・ウェイ・チケット 4大テーマパークを何度も自由に入場できるマジックパスです。 ホテルのルームキーと連動していて、ダイニングプランをオプションとしてつけた場合もこのカードに全ての情報が盛り込まれています。 (私達は現地案内の人が事前にチェックインを済ませてしまっていたので、無効でしたが)このカードはクレジット機能もあり、ホテルのチェックイン時にクレジットの情報を渡せば、買い物やレストランでも使用できます。最後チェックアウト時に一緒にクレジットで清算される、という仕組みです。現金を持ち歩く必要がないのが利点ですが、上記に書いたように、色々な機能が盛りだくさんに組み込まれているので、紛失には十分注意してください。 パッケージツアーで申し込んでその特典で貰った、スティッチのパスケース。これを首にかけて肌身離さず持ち歩きました。このスティッチ、現地で大変好評でスタッフの方はもちろん、向こうのゲストの方にも「Oh~!Stitch~!」と声をかけられたりしました。日本ではこの手のパスケースはよく見かけますが、向こうでは珍しいようです。 使い方 テーマパークに入る前、鞄の中身をチェックする場所があります。手ぶらの人用のゲートもあるので、鞄を持ってない人はそちらから入ります。パークへ入るゲートではこのカードを差込口に挿入し、上部にある指紋チェックする所に人指し指をつけて「ピッ」となってランプが光ったら入場します。幼児の場合はパスを通すだけで、指紋のチェックは要りません。 入場する時以外は、アトラクションでもこのカードを提示することはありません。あとは買い物時などに使用する以外基本的には使わないでしょう。 ダイニングプランを追加している方は、使うときに「Dining plan」と相手に渡す時伝えましょう。レシートにはスナック又はクイック、テーブル、使ったもののみ、今後使用可能な回数が表示されます。例えばスナックを利用した場合、今後使用できるスナックの回数が表示されます。ので、テーブルやクイックの回数を知りたい場合はそれらを使用した時にしか、回数が分からない、ということです。ちょっと不便。最終使用レシートは次に使う時までとっておいた方が分かりやすです。
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1 書くところが少なく楽。 2 キャンパス入り口から遠いこともある。 3 綺麗で立派。 4 「電源切って鞄に入れてね」が毎時間。 5 複数枚ある時は、色がそれぞれ違う。(理工学部) 6 普通だと思う。 7 行けるが、中まで係の人がついてくる。
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オリジナルスタンド図鑑No.2591~2600 ■ No.2601 【案師】 ID oNIaDDdb0 「……『スクリーム』」 「ギャァ―――――ス!」 【絵師】 ID 4yHD2KLuO 【絵師】 ID 4yHD2KLuO 【スタンド名】 スクリーム 【本体】 とにかく金と手間のかかるお嬢様。『降星学園』三年生。委員会無所属。テニス部部員 褐色のオーストラロイド。 ハートが二つに割れた様なデザインのブレザーを着て、泣きボクロがキュート No.2624『チャイルドフード』本体の妹で、とってもキレやすいお方 【タイプ】 近距離型 【特徴】 クラウンを頭にのっけて、宝石のような装飾が全身に付いた女性型 歯で何か棒状のものを食いしばっていて、鼻の左側がヒクヒクしている 【能力】 決して変わらない傷をつくる わった壺は二度と直らないし、砂に書いた字は消えず、文字通り水を切ることもできる 元々崩れやすい物に穴をあけ、『ビルの鉄骨』のように補強といった応用が可能 破壊力-A スピード-A 射程距離-E 持続力-D 精密動作性-D 成長性-C ■ No.2602 【案師】 ID Rj0r9vukO 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 ムーン・マッドネス 【本体】 『降星学園』二年生女子、天体観測部所属の美化委員。兎が好き。 【タイプ】 近距離型 【特徴】 全体的に白い、兎耳の亜人型。胸に黒い三日月のマークがあり、手には杵をもつ。 【能力】 胸の三日月マークからビームを放つ。ビームに触れたものは兎になってしまう。 本体が気絶、もしくはスタンドから一定の距離以上離れると能力解除。 破壊力-C スピード-A 射程距離-D 持続力-C 精密動作性-B 成長性-C 【能力射程】 B ■ No.2603 【案師】 ID Qe5NugNs0 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 BO2SVR―ブルーミング・アウト・オブ・シーズン・ヴァージン・ロード (狂い咲きヴァージンロード) 【本体】 19世紀の貴族の令嬢 お家問題で謀殺された際に石仮面が使われた為、吸血鬼となる 生まれつきのスタンド使い 【タイプ】 自動操縦 / 範囲型 【特徴】 スタンドに取り付かれたものの表面に張り付く髑髏の蜘蛛 【能力】 射程内の「動くもの」に本体を襲わせる能力 能力を発動すると、犬だろうと人間だろうと獣のように一心不乱に本体を襲うようになる 無生物でも車のように動くことができるものなら本体に突っ込むなどして襲い掛かる もちろん、本体も一応吸血鬼なので襲われても撃退できるし、 攻撃を喰らってもあまり痛くはないのだが、 たくさん動くものがあるところで能力を使うと 裁ききれない・回復しきれないのでダメージはあるし、 最近は重機のような吸血鬼の力でもどうにもできないものが増えてきたため、 本体はほとほと困り果てている 一応解除は自由にできるが、常に全体解除で、蜘蛛単体を個別に解除することはできない 破壊力-なし スピード-なし 射程距離-C 持続力-C 精密動作性-E 成長性-E 【能力射程】 C ■ No.2604 【案師】 ID RjM655JsP 【絵師】 ID pn4AMiQ80 【スタンド名】 セパルトゥラ 【本体】 黒い長髪の青年、自意識過剰な性格 【タイプ】 近距離型 【特徴】 華奢で非力そうな外見の黒い人型スタンド 【能力】 このスタンドに近付いた者の、忘れられた記憶を想起させる。 スタンドに近付けば近付くほど効果は増し、 直に触れればその記憶は「目の前で起こっているように」鮮明になるだろう。 ただしどんな記憶を想起させるかは操作できず、本体が語りかけて誘導しなければならない。 ちなみにセパルトゥラは「墓」を意味する。そういう能力。 破壊力-C スピード-C 射程距離-E 持続力-A 精密動作性-C 成長性-C 【能力射程】 10メートル程 ■ No.2605 【案師】 ID I6dgIpKM0 『コケイ ロケットブースター ブンリ!』 「……」 『エイセイ フェアリング ブンリ!』 「もうそれ要らないから黙っててくんない?」 『ダイ1ダン・ダイ2ダン ブンリ!』 「どうしてこの命令だけ聞かないのよクソッタレ」 【絵師】 ID dTv0euGb0 【スタンド名】 レーダーマン 【本体】 裕福な家庭の一人娘として生まれ、何不自由無い生活をして育つ。 知的ではあるが世間とは少しズレたところがあり、いわゆる不思議ちゃん、 電波ちゃん、プッツン、新人類などのレッテルを貼られることも。 強い独占欲があり、自分の思い通りに事が運ばないと気が済まない。 時には育ちの良さからは想像もつかないような下品でドギツイ言葉を使う。 自身の持つスタンド能力ゆえか常に黒い傘をさしている。 【タイプ】 遠隔操作型 【特徴】 半人半機械かつ女性型のスタンドで、両手首に付いたパラボラアンナが常に回転。 目の部分はゴーグル状(バーチャロイドのようなイメージ) 背中には小型のロケットを装備。 【能力】 本体かスタンドの右手を銃のように構え、発信機を撃ち込む 発信機は5発までで、それ以上撃つと最初に撃った発信機から順番に消えていく。 ロケットには偵察衛星が搭載されていて、空と陸からターゲットを追尾する。 ちなみにターゲットはそれぞれフォネティックコードで表す。 (ターゲットアルファ、コードアルファ、単にアルファ等) 本体にもゴーグル及びヘッドセットが出現し、衛星からの映像かスタンドの『目』の映像 どちらか一方を映し出す(表示情報はターゲットの位置とスタンドとの距離) 同時に2つの映像を見ることは出来ないが『目』の映像時は視界の右上にレーダーが表示される。 衛星および『目』の映像は「通常」 「サーモグラフィ」 「ナイトビジョン」の3つ。 スタンドに自我はあるようだが、本体の指示に従うだけで会話をすることは無い。 ロケット打ち上げ時には必ず衛星分離までのシーケンスを実況中継する。 破壊力-C/- スピード-C/B 射程距離-B/A 持続力-A/A 精密動作性-C/A 成長性-D/D ■ No.2606 【案師】 ID q9JVtCXA0 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 コマンチェロ 【本体】 『降星学園』4年生女子。青髪ツインテール巨乳 下級生上級生問わず、人気だが、その事には全く気付いていない 【タイプ】 近距離型 / 自動操縦型 【特徴】 灰色のスカーフを首に巻いたカウボーイのような人型 【能力】 スタンドの射程圏内に『タンブル・ウィード』 (西部劇などでおなじみの風で転がる草)を配置する能力。 配置された『タンブル・ウィード』は、 風に乗って自動で動き、『タンブル・ウィード』のいる位置の状況を本体も把握できる。 風に乗って動くので、無論本体の意志では操作はできないし、無風地帯では全く動かないことも。 破壊力-C スピード-B 射程距離-E 持続力-B 精密動作性-C 成長性-B 【能力射程】 A ■ No.2607 【案師】 ID Rj0r9vukO 「先生の授業をちゃんときかない子にはァ~筍ミサイル!」 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 1000・レジェンド (千年伝説) 【本体】 『降星学園』古典担当のおっとりした女教師。好きな作品は竹取物語。 【タイプ】 自立型 / 近距離型 【特徴】 竹を組み合わせて作られた人型。自我を有する。 【能力】 竹を生やしたり、生やした竹を操ったりできる。 竹はどこにでも生やせる。 本体が頼めば竹を細工してものをつくってくれる。 破壊力-C スピード-B 射程距離-D 持続力-B 精密動作性-C 成長性-B 【能力射程】 C ■ No.2608 【案師】 ID Rj0r9vukO 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 ファイア・アンド・レイン 【本体】 『降星学園』五年生男子。 学園にくるまえは放火を繰り返していた凶悪犯。今は放火なんてしない。 【タイプ】 近距離型 【特徴】 左半身が炎と右半身が水の人型 【能力】 本体及びファイア・アンド・レイン以外のもの、 もしくは人が触れると着火する『燃える水』を生成する。 破壊力-B スピード-B 射程距離-E 持続力-B 精密動作性-B 成長性-C 【能力射程】 C ■ No.2609 【案師】 ID Rj0r9vukO 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 ダウン・バイ・ザ・リヴァー 【本体】 『降星学園』三年生男子。射撃部所属。 【タイプ】 装備型 【特徴】 美しい波状の模様の施されたハンドガン 【能力】 必中。 ただし、指定されているものはそのものがある空間自体なので、 的を動かされると当然当たらない。 破壊力-C スピード-B 射程距離-B 持続力-C 精密動作性-B 成長性-C 【能力射程】 B ■ No.2610 【案師】 ID /Ojw9Us+0 【絵師】 ID UCg2VrTmO 【スタンド名】 ハロー・グッバイ 【本体】 ゴシック調のロリータファッションに身を包んだ『降星学園』の美術教師 生活指導部で、『反省部屋』と称し生徒を『地下迷宮』の小部屋に入れたりする。 見た目はどう見ても幼女だが美術教師の中では最古参で、学園内でも5本の指に入る高齢 声と眼光は年相応 【タイプ】 物質同化型 【特徴】 古ぼけた鍵と鍵穴 同化中のみ鞄に鍵穴が現れる おもに、お気に入りの本体の体格に不釣り合いな古ぼけたトランクに同化する。 【能力】 同化した鞄を地下迷宮の入口にする能力 地下迷宮は石の階段と石の子部屋が無秩序に並んでいるだけの空間で、 入口にする鞄が古ければ古いほど広くなる。 同化した際に鞄に入っていたものは地下迷宮内のある小部屋の床下収納におさめられている。 地下迷宮内の配置は鞄を開ける度に変化するが、部屋の中身に影響はない。 ハロー・グッバイが同化している鞄でもちろんスタンドを殴り付けることも出来るし、 鞄の口をガパガパさせて地下迷宮にガオン!するなどそこそこ戦闘も出来ないことはない。 破壊力-なし スピード-なし 射程距離-C 持続力-B 精密動作-なし 成長性-E 【能力射程】 D~A オリジナルスタンド図鑑No.2611~2620 当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用を禁止します。 [ トップページ ] [ ルールブック ] [ 削除ガイドライン ] [ よくある質問 ] [ 管理人へ連絡 ]
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「えっとー。一番最初がWhoだから……誰? あ、かんけーだいめーし?」 そうだ、関係代名詞。前に澪ちゃんに教えてもらった。 うん、そうそう。これは正解の気がする! 「答え、答えー……あ、あってたー」 思わず、よしっと呟いて赤ペンで大きく丸をつける。 向かいにいたムギちゃんが小さく拍手をしてくれた。 嬉しいけど、なんか恥ずかしい。 「唯もかなりできるようになったなー」 「澪ちゃんとムギちゃんの教え方が上手だからだよー」 「……にしても、あれだな。なんか、梓に悪い事しちゃってるよな」 りっちゃんの言葉に、澪ちゃんが、そっと背後のソファを振り返る。 そこにあずにゃんの姿はない。気にしなくて良いとは言ったけれど それでもやっぱり真面目な彼女のこと、先輩たちの邪魔は出来ませんと いつからか、あまり部室に寄り付かなくなっていた。たまに顔を出しても 「明日テストがあるんです」と言って単語帳を見ていたり。 もちろん、それが嘘であることは憂に聞けばすぐにわかることなのだけど。 「あずにゃんかー…」 「ん? どうした唯」 「んーん。なんでもない」 私の返事にりっちゃんは特に気にした風もなく、参考書に視線を落とす。 澪ちゃんとムギちゃんもそれぞれの勉強へ意識を戻す中、私はソファから 視線をそらすことができなかった。 なんか、いやだ。 あずにゃんの姿が見えないだけで、身体が寒いような、ぽっかり穴が開いたような。 そんな『なにかが足りない感じ』がどうしようもない寂しさを連れて来る。 あずにゃんに触れたい。 自分でも、時々過多じゃなかと思うことがあるスキンシップを 口で言うほどあずにゃんが嫌がっていないのはわかってたから それをいいことに抱きついて、頬擦りして、手を繋いで。 それが、ほんのちょっと前まで当たり前の日常だったのに。 あずにゃんって名前を呼んで あずにゃんって抱きついて あずにゃんとギター弾いて あずにゃんとお茶飲んで あずにゃんと一緒に帰って あずにゃんと――― 「唯?」 だめだ。 もう、限界だ。 「おい唯、どうした?」 「唯ちゃん?」 ぽかんと口をあけて、突然立ち上がった私に訝し気な視線を向ける3人に 「ごめん」と小さく謝罪の言葉を口にする。そうして私は近くにあった 自分の鞄を掴んで、音楽室を出た。 扉を閉める直前、りっちゃんがなにか叫んだ気がしたけれど、振り返らなかった。 ―――*** さっきまで燃えるようなオレンジ色に染められていた空は 今では深い蒼色に変わり、遠くには幾つかの星。 その中でもとびきりの輝きを放つ一番星を見上げながら 私は、中庭に立つ銅像の前で息を切らせていた。 「やっぱりもう帰っちゃったかなあ……」 あずにゃんが2年生の教室にいないことを確認してから 職員室や図書館へ行ったり、一応、校庭や体育館なんかも 探したけれど、結局、あずにゃんを見つけることはできなかった。 真っ直ぐに彼女の下駄箱を見に行けばよかったのだけど なぜだか私は、彼女がまだ校内にいる気がしていた。 そこに深い理由も根拠もない。ただ、なんとなくそう思っただけ。 「もう、帰ろうかなあ」 あずにゃんがいないのなら、仕方ない。 鞄も持ってきているし、今から戻って勉強する気にもなれない。 第一、あの3人になんと言い訳すればいいのか思いつかない。 「そうだ帰ろう、帰ろうかえろーっ」 自分たちの曲のワンフレーズの替え歌を心の中で歌って 私は足元に置いていた鞄に手を伸ばそうとして―――――とめた。 「先輩!」 今、聞こえた。 「ちょっ、こんな寒い中で何してるんですか!」 聞き間違いでも、見間違いでもない。 反射的に顔を上げた私の視線の先、ほんの数メートルの場所。 携帯電話を片手に、驚いたような、怒っているような、それでいて どこか嬉しそうな―――というのは自惚れか―――表情で立っている。 「あず、にゃん?」 彼女の顔を見た途端、私の中でなにかがぷつりと音を立てて切れた気がした。 鞄をそのままに、私は彼女に駆け寄る。さっきまで散々走り回っていたけど 不思議と疲れはない。ただそこにあるのは逸る気持ち。 早く、彼女に触れたい。 あと少し。 あと一歩踏み出して、彼女に手を伸ばせば。 「あずにゃん!」 「うわっ!」 飛びついた反動で大きくよろめき、後ろに倒れそうになった あずにゃんを、めいいっぱいの力で抱きしめて支える。 久々のあずにゃんの身体は温かくて、けれども その頬はひんやりとしてほんのり赤に染まっていた。 「あずにゃん、あったかいねー」 「先輩が冷たいんです。身体、冷えてるじゃないですか」 「へへへー」 だって、ずっとあずにゃんを探していたから。 言葉の代わりに、私は鼻から思い切り息を吸い込んだ。 鼻腔をくすぐる甘い匂いに心地よさを感じながら 私は、あずにゃんの耳元に唇を寄せて言葉を紡ぐ。 それはいちばん伝えたかった言葉。 「ねえ、あずにゃん」 「……はい?」 ―――会いたかった。 これも良いなあ -- (名無しさん) 2018-05-29 01 13 01 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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そう深くもない眠りから目覚めても、目に映る景色は変わらない。 これが現実なのだと、背番号28―――広池浩司はこめかみを抑える。 目の前には海、寄せては返す波の音は規則的に繰り返されている。 暁の空はほんのり明るんでおり、この閉ざされた島という世界にも朝が来ることを示しているようだ。 「…まだ6人か、もう6人か。」 眠気漂う脳を2、3度揺り動かし、名前が42人分印刷された紙を手に取る。 「10番、比嘉寿光。」 味気なく印刷された名前を呼ぶ。そして一呼吸置いてから、名前の上に棒線を引いた。 広池は名前の上に線を引くと、目を閉じ、また1つ呼吸をする。 それからまた広池は同じ行動を5回繰り返した。 18番佐々岡真司、19番田中敬人、20番永川勝浩、27番木村一喜。 「……64番、井生崇光。」 そして6人目、名簿の下から2番目の名前に線を引く。 しばらくボールペンを止めた位置から動かせないでいたが、その内にパタリとペンを倒す。 もう一度、意識して深呼吸をすると広池はペンを離し、目を閉じた。 頭の中には何も浮かばず、ただ波の音がさっきよりは響いているような気がした。 その中で広池は再び呟く。 もう6人か、と。 物事は10分前に遡る。 緊張により眠りと目覚めを通常より浅い場所で繰り返していた広池は、枕代わりにしていた右腕に着けていた腕時計の妙な曲で一気に覚醒へと引っ張られていた。 まだ働かない脳を持ってしても、その妙な――よくよく考えれば自チームの応援歌だったかもしれない――曲の後に腕時計のスピーカーから発せられた日本語は理解できた。 『死亡者6名』と『禁止エリア』。 ある程度の覚悟――人によっては諦めとも言える感情――をしていた広池でも、前者には流石に多大な衝撃を受けた。 (こんなに簡単に殺し合いって出来るものなのか? 同じチームだったのに?) 6人、全体42人のうち6人と言えば7分の1。占めるウェイトは決して少なくない。 そんな人数が、同じチームメイトに殺された。しかも6時間もの短い間に。 「…嘘、であって欲しいよ。」 思わず一人ごちた言葉は偽りのない本心だ。 しかしあの学校での出来事を目前で見た限りでは―――それはまごう事なき『事実』であった。 黙祷を捧げた後広池は目を開き、右手を握り締める。 手首の腕時計の黒いベルトはところどころ変色し、そして自ら着ているユニフォームにも血痕がいくつか風変わりなデザインのように飛んでいた。 広池の血ではない。出発の校舎で偶然広池が木村一喜の後ろの席に座っていたことでついたものだった。 その時のことをふと広池は思い出そうとした。 順を追って思い出す。あの場所で目覚め、席に着いて、それから―――。 しかしそこでいきなり記憶の映像は途切れ、音と声だけが広池の中にこだまする。 叫び声、銃声、静寂、そしてあの説明。 音だけはやけに鮮明だが、映像が全く頭に浮かんでこない。自分が何をしたのかも分からない。 ああ、これが人間の自己防衛機能だと広池は感じた。 『人間は極度のストレスを感じると、その物事を忘れ去ることで精神のバランスを保っている。』 どこかで読んだ一説が脳裏に浮かぶ。まさにその通りだ。 波の音がまたぐるぐると頭を巻いている。いい加減、船酔いでもしそうな気分だ。 名簿を鞄に戻し、広池は立ち上がる。 軽く体を曲げていると決して心地は良くない音が体中から聞こえた。無理もない、狭いスペースに押し込むように身を丸めて寝ていたのだから。 首を回す。右に回して、左に回して。ついでに足首も回す。 そろそろ頭も晴れてきた。ゆっくりと深呼吸して。 「広池さん、何してるんですか。」 思ってもいなかったことが起きた。人がいた。 いささか驚きつつも首だけで振り返る。 「…お前か、東出。」 「お前かはないでしょ。」 身軽に岩場を下る東出の行動に敵意を感じなかった広池は本人が自分のところにまで来るのを、柔軟をしながら見つめていた。 最後の岩を両足で蹴り、着地する。それと同時に広池も柔軟を止める。 「おはよう東出。」 「…相変わらず悠長なこと言ってますね。」 「そうか?」 東出と話をしながらズボンのベルトを緩め、ユニフォームの裾を中に仕舞いなおす広池。 「それはお前もだろ? 俺に攻撃してこないじゃん。」 ベルトを元に戻し、鞄の紐を肩に掛ける。そしておまけに東出に微笑みかける。 無表情だった東出の顔に呆れの色が見える。 「…こっちも、広池さんがここに居るとか思わなかったんでね。それに人殺す気とか今は無いし。」 「人を殺す気は無い、ね。お前は絶対やる気満々だと思ってたんだけどね。」 柔らかな口調で広池が返すと、東出の表情にはますます苦味が広がる。 「いくら前の監督とは言え、『殺し合いしろ』って言われて『はい、そーですね。』でぐさりとか俺は気分悪いです。 っていうか、すっごく癪だと思うんで―――」 語尾を延ばし、東出は不意に広池と視線を合わせる。 「…まぁ、時と場合によりますけどね。」 「ほら見ろ。やっぱりやる気あるだろ?」 「平和ボケしてるあんたとやってる暇なんかないんですよ。」 「平和ボケとは言ってくれるな。」 広池が笑う。東出は苦い表情のまま首を傾げる。 そして笑い声が途切れ、場は波の音が流れていた。 2mほどの間をとって向かい合う東出と広池。両方とも普段見せる表情とは相変わりない。 「広池さん、一晩何してたんですか?」 頭の後ろで両手を組みながら東出が尋ねる。 耳の中を行き来していた波の音が和らぎ、広池はふぅと息を吐いた。 「計算して、探し物してた。」 「計算?」 「中学校の時とかに習ったと思うけど、三平方の定理を使った奴ね。 『10m、50m。その2辺が垂直に交わる時に作ることの出来る三角形の斜辺の長さを求めよ』っていう問題。」 返事の代わりに東出が呆気に取られた顔をする。 すぐさま普段の通りに戻っていたが、それでもなお先ほどよりも呆れを増した表情にはなっていた。 広池はそれに気付いていないのか気付いていたのか分からないが、続けて話をしようとする仕草を見せる。 が、東出が右手を出し制止させる。もういい、と。 「…解答とか要らないですから。」 それよりも、と東出が促す。 「探し物ってなんですか。」 「瓶。それと釘かな。」 鞄の中を探り、広池が2本の空の瓶を取り出す。 1つは青みがかった細長いワイン瓶のようなもので、底の方には海草とも苔ともつかない物体が沈んでいる。 2つ目の瓶は寸胴でよくウィスキーを入れている物とよく似ており、貼られていたであろうラベルは申し訳程度にだけ残っていた。 それを数秒見せた後、広池は鞄の中に瓶を戻す。 「…正気ですか?」 東出が先輩に対して尋ねるべきではないことをさらりと言い放つ。 しかし広池はさほど気にする様子もなく、両手を叩きながら答えた。 「正気じゃないだろうね。仲間が死んだって聞いても俺、自分が狂ってるとは思ってないから。」 「違います。」 「何か違った?」 東出は指で広池の鞄を示す。 「こんな状況で瓶とか探しますか?普通。」 初めてそこで広池は自分の考えていた東出の問いが違うことに気がついた。 東出が話していたのは『自分の行動』が正気の沙汰ではないということ。 まぁ確かに、と広池は小さく笑った。 「ちゃんと理由があるから探したんだよ。さっきの計算だって理由があったからやったまでだよ。」 「じゃあどんな理由ですか。」 しんと2人の間の会話が途切れる。 「…三平方の定理はね。」 ぽつりと広池が呟くように東出に語りかける。 「直角三角形の分からない斜辺をx、分かっている辺をそれぞれaとbと置いて、xイコールルートのaの二乗プラスbの二乗っていう式でxを求めることが出来る定理なんだ。 で、さっき話したものにこれを当てはめると斜辺が10の二乗プラス50の二乗の平方根になる。 だったら答えは10の二乗の100と50の二乗の2500を足してルートの中に入れて、まぁ…10ルート26、つまり50ちょっとに数字上にはなるんだよ。」 「…だから何だって言うんですか?」 腕を組み、東出がいらついた様子で足でリズムを刻んでいる。 ああ、と広池がようやく我に戻ったように笑った。 「じゃあね東出。10mを学校の2階の窓までの高さ、50mを学校までの距離だとすると?」 「はぁ?」 文句を言い出しそうな東出の口元を見ながら、広池は間髪入れずに続けた。 「それと、火薬が簡単に作れてそれが衝撃に弱かったら?」 「……え?」 狐につつまれたような東出の顔を見て、広池は目を閉じた。 死んでしまった6人の、球場で交わした笑顔が浮かぶ。 ふっと、笑みがこぼれた。何の為だか分からないが広池は笑った。 「まぁ、これ以上は言えないけどね。まだ俺は死ねないし。」 下手すれば今この場で首輪が爆破されることだろう。 しかし言った何秒後の今でも生きているということは、自分の考えが向こう側に知られていない―――ということでいいんだろうか。 (なら、それでいい。) 一呼吸して、目を開く。東出は何かに気付いたのか、少し陽気な顔をしていた。 広池はそれを見て、再び微笑んだ。 「俺はね、弔おうと思ってるんだ。」 カチャンと鞄の中の瓶が音を立てた。頭の中に響いていた波の音はいつの間にか薄れて薄れて、消えた。 そして朝日がもうすぐやってくる、いつものように。 広池は肩に掛けた鞄を背負いなおすと、背後の岩場に足をかけた。 【生存者 残り36名】 prev 37.食えない男 next 39.「誰だ」 リレー版 Written by ◆ASs10pPwR2
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578 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/02(土) 23 20 35.42 ID AToMZM+a0 怖いから部屋から風呂まで 全部電気つけて風呂入ってきた\(^o^)/ だるまさんが転んだは平気だった むしろ風呂出て部屋の電気つける時 掛けてた鞄が落ちた時のほうがビビったw .
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第三話 寺子屋にて 「今日はここまで。宿題はちゃんとやってくるように」 生徒たちに問題の書かれた紙を手渡し、算数を教えている先生ことパンナコッタ・フーゴは教室を後にした。 それを合図に、子供たちは教室から飛び出し、それぞれの家や遊び場へと向かって行く。 寺子屋最年長(?)のナランチャも、例外ではなかった。 「よっしチルノ! 釣り行こうぜ釣り!」 鞄を持って、ナランチャは同じクラスの氷精、チルノを呼ぶ。 「釣りでもあたいはサイキョーなんだからね!」 チルノも鞄を持って、教室の窓から飛び出していく。 「うおぃ! 待ってよチルノォォォー! 飛んでいくなんてヒキョーだぞー!」 ナランチャも慌てて廊下を走り出す。 「さて、私も帰ってマンガでも読もうかな」 フランも、鞄を持って教室の窓から飛び立つ。 背後から、窓から飛び出すなー! と叫ぶ慧音の声が聞こえたが、フランもチルノも気にしなかった。 紅魔館の近くにある湖で、チルノとナランチャは釣り糸を垂れ始めた。 その背後ではチルノの姉的な存在である大妖精がその様子を見守っている。 釣竿、とは言ったものの、そこらへんの木の枝に糸と針、そしてミミズを付け足しただけという簡素なものだ。 むしろそんなもので魚が釣れるのかと言いたくなって来る。 しかし、 「きたッ! きたきたきたァーッ!」 ナランチャの持つ枝に衝撃が走ってきた。 枝を思い切り引っ張ると、それは勢い良く湖から飛び出した。 魚、というには彼は大きすぎた。 魚、というには姿がかけ離れすぎた。 それは人間だった むしろディアボロだった。 彼は意識を失い、湖畔の草むらにその体を投げ出している。 もちろん、釣り上げられたばっかりなので全身びしょ濡れだ。 「……人が釣れたぞ」 唖然とした表情を浮かべるナランチャ。 「誰かなコイツ?」 好奇の表情を浮かべるチルノ。 「とりあえず、こんなときは胸の部分を押して水を吐かせたほうがいいかと……」 戸惑う大妖精。 「よ、よし。じゃあオレがやってみるよ」 ナランチャは、ディアボロに近づいて、 「胸の辺りを押すんだな……」 心臓マッサージの要領で胸を圧迫すると、ディアボロの口から水が噴水のように吹き出た。 それと一緒に、口から魚が一匹飛び出した。 「ぷっ!」 それを見たチルノは、思わず噴き出してしまった。 「ぷっ……ククク……まるで人間ポンプだぜ……」 ナランチャはディアボロの胸を圧迫するのを忘れ、笑いをこらえるために口元を押さえる。 すると、 「ガハッ!」 ディアボロは更に口から魚を2、3匹ほど飛び出させてから跳ね起きた。 そして、 「オウェェェェェ……」 その場に大量の魚を吐き出し始めた。 「「アーッハッハッハ!」」 チルノとナランチャはその光景に耐えられず、ついに⑨笑いこと馬鹿笑いを始める。 ディアボロが延々と魚をはき続ける光景を見て、大妖精が、 「まるで鵜飼いの鵜みたいですね……」 と呟くと…… 「「鵜飼いって何だ?」」 チルノとナランチャが食いついてきた。 「鵜飼いって言うのはね、川とかで鵜という鳥に魚を食べさせて、船とかに集めて鵜の中の魚を吐かせて魚を取ることを言う……ハッ!」 そこまで言って、大妖精はチルノの目がキラーンと光っているのに気がついた。 しまった……大妖精は、後悔した。 「あたい……いいこと考えた」 「奇遇だなぁ! オレもだ!」 チルノとナランチャは、目を輝かせながらディアボロに迫る。 魚を吐きながら話を聞いていたディアボロは、 「なんだかよくわからんがヤバイッ!」 すぐに立ち上がって走り始めた。 「あっ! 逃げた!」 チルノは飛んでそれを追う。 「待ちやがれッ!」
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[16]Interval extra03―コイワズライ 前編 午後三時過ぎ――第七学区。 『♪~~』 駅前から続く坂道。上り坂をテクテクと歩いていた姫神秋沙の学生鞄から緩やかなメロディが流れた。 「ん?」 「電話?」 「電話だねぇ」 携帯電話の着信音。着信メロディーは誰からかかってきても同じメロディが流れる様に設定してある。 だから誰からかはまだ判らない。 でも、その電子音は姫神の心臓のリズムを少しだけ早くした。 メゾピアノからメゾフォルテへ。アダージョからアンダンテへ。トクン、トクンとときめく乙女心の旋律は頬を容易く赤色に染め あげる。 (明日の約束とか?いや、もしかしてこれから会えないか?とか) 真っ先に浮かぶのは一人の少年。上条当麻。 自然に足が止まった。 (時間差攻撃。君も女の子の扱いが上手くなったね。そこだけなんかムカつかなくも無い) 少し先に不思議そうな顔をした吹寄と越川の顔が並んでいる。突然姫神が立ち止まったから何かあったのかと思うのも当然だろう。 「姫神さん?」 「ひめちゃーん、彼氏からの電話?」 「なっ!?彼氏!?姫神さんいつの間に……。いやもしかして……あぁいやいやそれは無い、それは無い……はず」 「ふーちゃん何ブツブツ言ってんの?姫ちゃんってば結構人気あるんだよ。てかそれはふーちゃんだって一緒っしょ?」 「知らないわよッ!?私はああいう軟派な連中は嫌いなの!」 「んじゃ本命は上条君?彼も結構人気あるみたいだよ。前途多難だよねぇ"お互い"」 「なっ!?なんでそこで上条当麻の名前が出てくるのよッ!」 「図星か、にやり」 「待ちなさいッ」 「待ちませんッ」 とりあえず姫神は歩道の真ん中でぐるぐるとコントしてる彼女達に「先に行ってて」と右手を振って先を促す事にした。 どうせ目的地は分かっている。一端はぐれた所で問題は無い。それに電話の内容いかんではこのまま別行動になる可能性すらある。 あるかも知れない。無いとは言い切れない。むしろあって欲しい。あの少年には是非自分を選んで欲しい。姫神秋沙はそう思った。 どうしても期待してしまう。それがどんなに可能性の低い事なのか理解していても。 学生鞄と白いトートバックを持つ手に力がこもった。 携帯電話はまだ取らない。着信音が途切れた。がすぐにまたかかってきた。 「ん、そう?じゃあ先に行ってるわね姫神さん」 「姫ちゃん、その、いろいろとがんばってね」 「わかった。できるだけ早く行く」 着信音は鳴り続ける。これで着信は四回目。つまり、よっぽど大事な用件という事だ。 クラスメイト二名の姿が坂の向こうに消えたのを確認してから、姫神は大きく深呼吸をして鞄を開けた。 (願わくば"彼"からでありますように……) 淡い幻想を胸に。胸の早鐘はどんどんと勢いを増す。それは決して悪い感覚では無かった。 だが少女の淡い幻想はその直後、無残に砕け散る事となる。 鞄から取り出した携帯電話の液晶に表示されるのは姫神が居候している家主の名前、彼女の担任でもある月詠小萌。 「小萌。紛らわしい」 あからさまな落胆の吐息を吐き出して、姫神の幸せ指数がみっつぐらい下がった。 思わず携帯電話を握る手に力が籠もる。握ったぐらいで壊れる程最近の携帯電話はやわではないが何故か携帯電話はミシミシと音 を立てていた。 携帯電話の通話ボタンを押し、耳に当てる。 『もしもし……』 流れ出たのは聞き慣れた声。 (この人には。声変わりという時期が無かったのだろうか?) とえらく失礼な感想が頭に浮かぶ。 それでも学園都市の七不思議の一つに数えられるちびっ子先生だからと説明されれば、納得できるのが凄いといえば確かに凄い。 知らない人が聞いたら、きっと簡単に信じ込んでしまう事だろう。 『もしもーし』 「もしもし」 『姫神ちゃんですかー?なかなか出てくれないから困ってたところですよー』 「小萌。携帯電話で相手の確認は不要だと思う」 ちびっこ先生は自分の部屋にいるんだろうか?フローリングの床を歩く音が聞こえる。 『一応の礼儀なのですよー。そりゃ姫神ちゃんの携帯電話に掛けてるのだから姫神ちゃんが出なかったら先生は激しく ビックリしちゃうのですけれどね。そんな事より姫神ちゃん、今外ですか?』 「今外。吹寄さんと越川さんと一緒に地下街に行く所」 今度は扉が閉まる音。少し遅れて鍵が掛かる音。 おそらく部屋を出たのだろう。途端に雑音が多くなり声が聞き取りづらくなった。 『ありゃ、上条ちゃんと一緒じゃ無かったんですか。先生はてっきり姫神ちゃんは上条ちゃんと遊びに行ってると思ってたんですが』 「ぁぅ」 何気に姫神の乙女回路へとグサリと突き刺さる恩師の言葉。これで狙ってやってる訳で無いのだから余計にたちが悪い。 が、痛む胸を押さえ姫神は冷ややかな口調で切って返す。 「小萌。切っていい?」 既に細い指は通話終了ボタンにリーチをかけてある。後は押し込むだけ。それでこの拷問(かいわ)は終わる。 『わーわー!姫神ちゃんってばいつからそんな悪い子になったのですかぁ!?』 「小萌。そろそろ用件を言って欲しい」 『う~、姫神ちゃんは先生の事を馬鹿にしてるのですね?先生は……先生は……』 「小萌先生。用件」 先生とつけただけだが向こうのちいさい人はそれで満足するようで機嫌を直してくれた。 (小萌。単純) 『実はですねー黄泉川先生から部屋に遊びに来ないかと誘われてまして、これからお邪魔しに行くところなのですよー』 (体育の黄泉川先生。小萌の同僚) 「小萌。お酒はほどほどに」 『なっ!?姫神ちゃんは先生を大酒飲みだと思ってるのですかー!?』 「うん。あとヘビースモーカー」 『うぁぁぁああああああ!教え子がいじめるんですよぉぉぉぉ』 「小萌。うるさい」 時折姫神の後ろを車が通り過ぎる。この街は学生が人口の八割を占めるので道路を走っているのはほとんどが学バスだ。 小萌先生が落ち着くまでに要した時間は数分――。その間姫神は坂道の中腹辺りでガードレールに腰を掛けて待つ事になっていた。 『えぐえぐ、ですから夕食は外で済ますか何かして欲しいんですよー』 結局の所、肝心の用件自体は数分もしない内に終わった。 要は小萌先生はこれから同僚の部屋に遊びに行って夜まで帰ってこないから、夕食は適当に済まして来て欲しいと言う事だ。 メールでも済む所を律儀に電話してくれるのは責任感故か。 『というわけで、姫神ちゃん、すみませんがよろしくお願いしますね』 「わかった。小萌も気をつけて」 『それでは行ってきますねー』 パタン、と二つ折りに携帯電話を畳んで姫神は軽く嘆息した。 視線は左手に持つ携帯電話に落とされる。 細い指で小さなボタンを押し込んで姫神はアドレス帳を呼び出した。 登録件数は少ない。三十件程度。二学期からのクラスメイト達がそのほとんどだ。 だから目的の番号はすぐに見つかる。探して数秒で即ヒット。見つかるように整理もしてある。"特別"な分類にも分けてある。 「上条。当麻」 姫神秋沙にとってその名前は特別な意味を持つ。 ただ口から出しただけで顔の温度は上がる。思い浮かべれば胸が苦しくなる。吐き出す吐息は熱を帯びる。 典型的な恋の病。 胸に秘めた思いが成就するその時まで決して完治する事の無い不治の病。 学園都市屈指の名医であるあの医者ですら、姫神の難病を治療する事は出来ないだろう。なにせ手ごわい恋敵(ライバル)は例の少年が 無自覚の内に発揮するフラグ体質のせいで現在進行形にて増殖中だ。正直いい加減にして欲しいと思う時もある。 「はぁ……。虚しい」 丁度坂道の頂上に差し掛かった頃だった。後ろの方からけたたましい排気音。接近する騒音に気づいた姫神が振り返った。 (歩道なんだけど……。スクーター!?) 「きゃっ!?」 姫神の手から携帯電話が落下しカツンと音をたてた。 掠めるように通過した黄色いスクーターに驚いて姫神はアスファルトの地面に尻餅をつく。 「いたたたた。なんて乱暴な運転」 悪態をつき、ゆっくりと立ち上がる。スカートの汚れを手で払い。地面に落ちた携帯を拾った。そして鞄へと手を伸ばす。 手は何も掴まなかった。 「……あれ?」 黒い瞳をパチクリ。ぐるりと周囲を見渡す。一気に血の気が引いた様な気がした。 (鞄が。無い) 姫神は慌てて走り去るスクーターを見た。 赤いフルフェイスヘルメットを被った運転手の手に握られているのは"姫神の学生鞄と白いトートバック"。 それを表す言葉が姫神の頭に浮かんだ。ひったくり。普通はもっとお金になりそうな物を狙う。 (よりによってアレを……) この時、姫神秋沙は自分の準備の良さを呪った。まさかこんな事になるとは思っても見なかったのだ。 「返してっ!」 姫神秋沙の思考はただ一つの目的の為に動いた。 彼我の距離を確認。続いて自分の速度を確認。最後に相手の速度を確認。 (走って追いつくのは無理) 相手はまがりなりにもバイクだ。姫神が仮にオリンピック選手級の運動能力を持っていたとしてもまともに競争しては勝負の結果が 見えている。まるで兎と亀。そもそも競う事自体が間違ってるような絶望的な状況だ。兎が昼寝しない限り、亀は絶対に勝てない。 だけど諦めるわけにはいかなかった。 (せっかく。せっかく"編みきった"のにっ) 懸命に手を振って。脚を急かして。追いかけた。 だけど距離は縮まらない。むしろ開く。 下り坂を降りきった所で、引ったくり犯のスクーターが二十メーター程先の角を右に曲がったのが見えた。 遠い。おそらく姫神が角を曲がる頃には更に差は開いてるだろう。 「はぁ。はぁ」 荒い息がひっきりなしに吐き出される。悲鳴をあげる心臓と弱音を吐く脚の筋肉。いくら若いとは言っても準備運動も無しに全力疾走 すれば当然だった。筋肉がボイコットを開始し、体を倦怠感が襲う。脳からは休息の指示が出る。 だけど全部無視する。 「ま、負けるか。他の何でもいいけどアレは駄目」 悩んだり、迷ったりしてる暇は無い。 見失ったらアレは二度と姫神の手には戻らないだろう。もしかしたら犯人の手によってボロボロに切り裂かれてしまうかも知れない。 何せ相手は金目の物でも入ってるかと思って姫神の鞄を盗ったのだろうから。その辺りが少し疑問ではあるが。 性根が曲がっていれば腹いせにそれぐらいの事はやりかねない。 実際の所、別に鞄自体はどうでもいい。戻ってこなくてもいい。アレ以外の中身もどうでもいい。ボロボロに壊されても破かれても、 今は興味も愛着も沸かない。アレ以外は。 だけどアレは駄目だ。代わりが無い。 普通なら、ここで諦めて警備員なり警察なりに駆け込むところだった。そう"普通”なら。 (こっちも。はい、そうですかって諦められない) 悔しそうに握り締める右手。生憎、姫神秋沙の事情は"普通"ではなかった。いうなればそれは"特別"。 明日はクリスマス・イブなのだから。その為に一ヶ月も前から準備をした。 あのやたらと情報通な茶髪ポニテからは購買のチョココロネ十個と引き換えにあの少年の胸囲だとかその他もろもろのデータを教え てもらった。暇を見つけては少しづつ編んだ。 だというのにこれではあんまりでは無いか。これは姫神では彼に相応しくないと意地悪な神様が与えた試練なのだろうか? 「そんな神様なんて要らない。そんな結末なんて認めない。そんな結果なんて――絶対に従わない!」 走りながら目尻に涙を滲ませて吼える。バッドエンドのヒロインになるのは嫌だった。 (犯人が逃げたのは一本道……) 考える。姫神秋沙は考える。考えなければいけない。 取り戻す為に。明日の為に。一ヶ月の努力の為に。そしてあの少年の為に。何よりも自分の為に。 思い浮かぶのは切欠。追憶の一ページ。 『今年の冬は寒くなるからな、俺なんて去年まで着てたセーター縮ませちゃってさ。新しく調達しなけりゃならないのに上条家の家計 簿は火の車ですよ、もう赤ペン先生もびっくりだ』 『ふぅん。それは大変』 『大変だと思ってねぇだろ姫神』 『そんな事は無い。私も大変だから』 『んだよ、それ?』 『来月になればわかるかも知れない。それまでセーターは買わないほうがいいよ』 『わけわかんねぇぞ姫神、何かの謎掛けか?』 『それは秘密。とにかく言うとおりにしてみて』 丁度ひと月前の教室。些細な出来事。ただの世間話。友人同士の他愛の無い会話。 だけど姫神の知る限り、それからあの少年が学生服の下にセーターらしき物を着てきた事は無かった。 もしかしたら本当に買う余裕が無いだけだったかも知れない。 でも姫神は違うと思っていた。彼はわがままを聞いてくれているのだ。優しいから。誰も対しても優しいから。 だったら誰がその優しさを裏切る事なんて出来るだろうか?誰にだって出来やしない。少なくても姫神秋沙には出来ない。 (あきらめない。絶対に取り戻す) "あの先には何があった?あの先には誰がいた?自分はどこに向かう途中だった?"思い至り額の汗を拭う。 黒真珠の瞳には活力が戻り、汗だくの手が制服のスカートのポケットを探る。固い感触が指先に当たった。乱暴に引っつかんで手首 のスナップで開き、アドレス帳から目当ての番号を探し当てる。 「あっち。あっちには彼女達が――いる!」 [12月23日―PM15 12]